半かぶせタイプのランドセルは、レトロな雰囲気が魅力です。「人と違うランドセルがいい!」という子にとっては、気になる存在ではないでしょうか?
ただし個性的である分、一般的な全かぶせタイプと比べると、使い方に工夫や注意が必要なこともあります。特に気をつけたいのが「交通安全カバーがつけられない」という点です。
半かぶせランドセルが気になる、でも使い勝手はどうなのかしら……と迷っているなら、まずはメリットとデメリットを知ってから、買うか買わないかを判断することをおすすめします。
半かぶせランドセルのメリット
まずは、半かぶせランドセルのメリットから見ていきましょう。
(1)荷物の出し入れがスムーズ
半かぶせランドセル最大のメリットは「荷物を出し入れしやすい」という点です。
一般的な全かぶせランドセルの場合、開閉用の金具は底面についています。ランドセル内の荷物を取り出すには、ランドセルをいったん横に寝かせ、金具を回さなくてはなりません。
その点、半かぶせランドセルだと、金具は背面についています。ランドセルをわざわざ倒す必要がありません。立てたままでも開閉でき、さっと荷物の出し入れができるのは大きなメリットです。
実際に半かぶせランドセルを使っている子どもたちも「出し入れしやすい」「使いやすい」と、使い勝手の良さに満足しているようです。
低学年のうちは、忘れ物をすることもしばしば。朝ランドセルを背負い、家を出る直前になってから「あ、給食袋を忘れた!」「机の上に計算カードを置いたままだった!」と気づくことも多々あります。
そんなとき、子どもがランドセルを背負ったままで、お母さんが後ろから荷物を入れてあげることもできます。ちょっとしたことですが、経験者によると「便利!」と感じる瞬間です。
(2)周りとかぶりにくい
半かぶせランドセルの人気が出てきたとはいえ、選ぶのは少数派です。もちろん地域や学校にもよりますが、「縦型の半かぶせは学年で数人」「横型の半かぶせは学校全体で数人」というケースが多いようです。
つまり半かぶせランドセルは「周りとかぶりにくい」ということ。そのため、口コミを見ていると、
- 「すぐに自分のランドセルを見つけられて便利」
- 「友だちにほめられる」
といった「みんなと違うからいい!」といった意見が目立ちます。自分なりの感性を大事にし、注目されることも好きな子にとって、周りとかぶりにくいかぶせランドセルはぴったりでしょう。
(3)デザインが洗練されている
半かぶせランドセルの魅力は、何と言っても「デザインが洗練されている」ことです。
レトロでクラシカルな印象があり、リュックに近い感覚で使えます。そのため、高学年になっても飽きがこず、むしろますます気に入って使う子が多いようです。
しかも半かぶせランドセルの場合、背面の金具やかぶせの端も、デザインの一部です。そのため、装飾を施せるパーツが多くなります。やはり半かぶせランドセルは、個性的なランドセルが欲しい子にうってつけなのです。
半かぶせランドセルのデメリット
近年注目を集めている半かぶせのランドセル、実は10年ほど前に流行ったことがあります。ブームが下火になったのは、使いにくい点があったためです。
買ってから後悔しないためにも、デメリットを確認しておきましょう。
(1)交通安全カバーのサイズが合わない
半かぶせランドセルを買う際に気をつけたいのが、交通安全カバーです。
小学校によっては、1年生の間は黄色い「交通安全カバー」をランドセルにつけることになっています。
しかし配布されるのは、一般的な全かぶせタイプを想定したもの。半かぶせランドセルにつけるなら、「切って縫い直す」「折って挟む」といった工夫が必要です。
裁縫が得意なら、さっと加工できるかもしれません。でも裁縫が苦手な場合、ましてや入学準備が忙しい中で、ランドセルに合うように切って縫い直すのは、手間だと感じるかもしれません。
カバーを折って挟むだけなら楽ですが、ランドセルを開け閉めすることで、カバーが外れることもあります。そのたびに直さなくてはいけないので、子どもにとって不便です。
交通安全ランドセルカバーは、交通安全協会から支給されるもの。黄色は目立つ注意色のため、一年生を交通事故から守る目的で配られます。
交通安全カバーには、一年間の保険がかかっています。万が一事故にあったときは、交通安全協会から保障が受けられます。そのため、カバーに傷がついたり切れたりしても、一年生の間は補修しながら使う小学校が多いようです。
半かぶせランドセルを選ぶなら「そのままでは交通安全カバーをつけられない」ということを、頭に入れておきましょう。
ただし、交通安全カバーを使うかどうかは、地域や学校によって違います。
- 「配られるけれど、つける義務はない」
- 「安全ピンで留める黄色いワッペンを、ランドセルのフックにつければ大丈夫」
- 「うちの学区は、黄色い帽子だけ」
- 「そもそもランドセルカバーが配布されなかった」
など、交通安全カバーは必須でない地域もあります。
子どもが通う小学校ではどうなのか、近所に住む先輩ママに聞いてみると良いでしょう。
(2)背後から開けやすいので、いたずらの可能性も……
背負ったままでも開けられるのは、半かぶせランドセルのメリットでもあり、実はデメリットでもあります。なぜなら、知らないうちに背後から開けられて、いたずらされる可能性があるためです。
元気な子どもはえてして、悪ふざけが大好きです。こっそりと友だちのランドセルを開けようと思ったとき、開けやすい半かぶせランドセルは、ターゲットになりやすいかもしれません。
また、いたずらという意味では「みんなと違う」ということから、いじめの対象になるのではと心配する親御さんも多いようです。
結論から言えば、ランドセルのデザインやカラーが多様化する中で、個性的であることを理由にしたいじめは、あまり気にする必要はないでしょう。むしろ「可愛いね!」「おしゃれなランドセルだね」と、ほめられることが多いようです。
ただし、「いじめはほとんどない」とはいっても、完全にゼロとは言い切れません。どうしてもいじめが気になるなら、無難な全かぶせタイプを選ぶのも一つの手段です。
(3)荷物があまり入れられない
半かぶせランドセルのデメリットとして、全かぶせタイプと比べると、「収納の無理がきかない」という点も挙げられます。
子どもたちは、小学校から多くの荷物を持ち帰ります。朝出かけたときよりも、荷物が増えることもしばしばです。
全かぶせタイプなら、パンパンに荷物を詰めても、多少の余力があります。なぜなら開閉用の金具が2段階になっているため。荷物に合わせて調整することができるのです。
ところが半かぶせの場合、そうはいきません。かぶせ部分が短いうえに、金具も1段階のものが多いため、あまり調整がききません。
また、本来の使い方ではありませんが、全かぶせタイプであれば本体とかぶせの間に、ランドセルに入りきらないサイズのものを挟むこともできます。たとえば、図工の時間に絵を描いた画用紙や防災ずきんなど大きなものも、挟んで持ち帰ることができます。
収納力という意味では、半かぶせタイプは「A4クリアファイル対応が少ない」という点も、頭に入れておきましょう。
A4クリアファイルについては、別記事で詳しく紹介しています。「A4クリアファイルって何?」という方は、ぜひ参考にしてください。
(関連)「A4クリアファイル対応&A4フラットファイル対応、違いは?」
(4)ロッカーに入らない可能性がある
小学校のロッカーは、全かぶせタイプを基準につくられています。半かぶせランドセルの場合、ロッカーに入りきらない可能性があります。
半かぶせランドセルには、縦型と横型があります。特に横型の場合は要注意。そもそも横型ランドセルを禁止している小学校もあります。購入前に、横型ランドセルが使用可能かどうかを確認しておきましょう。
また横型の場合、ランドセルが身体の幅より大きくはみ出すため、周りの物に引っかけやすい点を指摘する声もあります。
登下校中にランドセルの幅を意識せずに歩くと、ランドセルが隣の人に当たったり、電信柱やフェンスといった出っ張りに引っかかったり……といった可能性があるのです。
まだ身体が小さいうちは、ランドセルが引っかかったことでバランスを崩し、転倒しないかどうかも気がかりです。わが子の性格を考えて「そそっかしい面がある」「元気で周りを気にせず走り回っている」と感じるなら、横型は避けたほうが無難かもしれません。
(5)荷物が多いと、かぶせが跳ね返りやすい
半かぶせランドセルはかぶせ部分が短いため、たくさん荷物を詰めたときは要注意です。
開閉用の金具を外すと、勢いよく開き、顔に当たる可能性があります。ケガをしてしまわないよう、扱いに注意しましょう。荷物を詰めすぎないこと、開閉時には十分な注意を払うことが大切です。
無理してかぶせを閉めていると、歩いているときに何らかのはずみで金具が外れる可能性もゼロではありません。開いたときに後ろに誰かがいると、やはり顔に当たる可能性があり危険です。
金具がゆるんでいると感じたら、早めに修理するようにしましょう。6年間保証つきのランドセルなら、通常の使用で起きた故障であれば、基本的に無料で修理サービスが受けられます。
ただし修理には、当然ながら日数がかかります。ケースバイケースですが、基本的には1週間は見ておいたほうが良いでしょう。
まとめ
半かぶせランドセルは、デザインがとても個性的です。そのため、全かぶせタイプにはないメリットもありますし、同じくデメリットもあります。十分に比較して選ぶことをおすすめします。
親御さんとしては、一般的な全かぶせタイプを選びたいと考えるかもしれません。でも、ランドセルを使うのはお子さんです。
できる限り子どもの希望を取り入れてあげたいもの。店頭で半かぶせと全かぶせの両方を試着して、親子共に納得できるランドセルを選びましょう。